TOP > インタビュー一覧 > 2021年04月08日(土)

<企業成長を影から支える黒子ビジネス特集> キャッシュがあればベンチャー事業は上手くいくのか?資金調達よりも大事なこと

  • 新型コロナ関連倒産が1,301件。大きな社会状況の変化
帝国データバンクによると、2021年4月時点での「新型コロナウイルス関連倒産」件数は1,301件に上る。2020年度(4〜3月)全国企業倒産7,163件(東京商工リサーチ)のうち、約20%が新型コロナウイルスによる業績悪化が原因ということになる。
当面の運営資金を確保するために各社が金策に走り回った。2月9日までに金融機関などから資金調達をした上場企業は312社。資金調達総額は13兆7,688億円にも上る。(東京商工リサーチ)特にこの1年は、経営者の頭から「資金繰り」の文字が頭から離れなかったのではないか。
 
  • キャッシュがあれば上手くいく?資金調達後にベンチャー企業が陥りがちな落とし穴
世界的なパンデミックという、全世界が未体験の外的要因により経営危機に瀕した企業が多かった。金融機関などから資金調達を実施し、キャッシュの確保に勤めた企業は多い。平時でも、積極的に資金調達を実施するベンチャー企業は多いが、実は資金調達後に経営が悪化し、事業が立ち行かなくなってしまうことも多いという。
過去、ソーシャルゲームを提供する株式会社gumiの初代CFOを務め、現在は「レンタルCFO」として多数のベンチャー企業の財務支援に携わる株式会社リンクス代表取締役鈴木吾朗氏に話を聞いた。
 
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株式会社リンクス 代表取締役 鈴木吾朗氏 
会計スキルゼロの状態から三菱重工に入社、企画経理部にて管理会計を学び、国産ジェット機のMRJプロジェクトなどのプロマネを経験。Web広告代理店、ゲーム会社gumiなど複数社のベンチャー企業での経理責任者として経営の意思決定に携わったのち、独立。2015年3月株式会社リンクスを設立し、「レンタルCFO」事業を提供。2021年4月現在、累計で約200社もの企業の財務支援に携わっている。
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2010年3月、鈴木氏はソーシャルゲーム事業急拡大を推進していた株式会社gumiに。初代CFOとして参画した。当時のgumiは、国光社長の元、「No.1のエンタメ企業になる」というビッグピクチャーを掲げ、事業を急拡大していた。
鈴木氏が参画してまず取り組んだことは、GREEからの第三者割り当てによる4億円の資金調達だった。しかしながら、鈴木氏の頭を悩ませたのは、資金調達”後”だった。
 
鈴木氏:「No.1のエンタメ企業になるためにはとにかく大量のゲームコンテンツを出さなければなりません。そのためにgumiが取った戦略は技術者の大量採用でした。参画後半年で社員数は12倍の120名まで拡大し、成長のスピード感を実感していました。」
 
当時、鈴木氏は開発現場に採用を任せ、外部から資金調達をすることに注力していた。コンテンツを売り出すプラットフォームとして、GREEと一緒に事業展開をすることを選択。GREEから出資してもらうためのデューデリジェンスや投資条件交渉に奔走し、結果として約4億円もの資金を調達した。
 
順調に見えたgumiだが、ここにベンチャー企業が資金調達”後”に陥りがちな落とし穴が隠されていた。
 
鈴木氏:「当時、僕は資金調達のクロージングに専念していたため、資金の”使い道”はあまり見ていませんでした。4億円の軍資金を得られたものの、ゲームコンテンツが全く売れていませんでした。品質は良くてもユーザー目線とズレていたため、課金・継続されず売上が立ちませんでした。それにもかかわらず多数の技術者を採用してしまっていたため、120人分もの人件費・経費を含めた月間赤字が6,000万円に上り、このままでは約半年で資金ショートしてしまうという状況に陥りました。」
 
  • コストダウン、リストラなどキャッシュフローの大幅な見直しを断行
鈴木氏:「当時、採用計画では上限90人の想定でしたが、気づいた時には120人に膨れ上がっていました。」
 
約4億円もの資金調達後、半年で会社が倒産となれば会社としても、鈴木氏個人としても再起は難しくなってしまう。そこから、ドラスティックに経営改革を推進していった。
まず、現場にはヒットコンテンツを生み出すことに注力をしてもらう。一方、鈴木氏は肥大化してしまったコストを縮小するため、HRの責任者や開発現場と連携し、120人の社員から機能していない人を抽出し、退職を促すコストダウン施策に取り組んだ。
 
鈴木氏:「多額のお金が入るとベンチャー企業は気が緩みがちになります。外からのお金だけで会社を無限に続けることはできません。非常に苦しい仕事でしたが、リストラを断行することで支出を大幅に減らし、約1年間事業継続できるキャッシュを確保しました。その辺りから、ヒットコンテンツが3作連続で生まれるなど、ゲームコンテンツ開発の勝ちパターンを掴み、ようやく売上が安定するようになりました。」
 
大きく資金調達をしても気を緩めず、経営者は意味がある予算配分をしなければいけない。鈴木氏は、改めてこの一件で営業キャッシュフローの重要性を学んだという。
 
鈴木氏:「通常、2回目以降の資金調達の場合、営業面・事業面で結果を出したトラックレコードを元に次の調達をしていきます。財務→事業→財務→事業のスパイラルで成長させていくこのバランス感は非常に重要です。」
 
  • ちょっと財務の相談をしたい。経営者のニーズに応える「レンタルCFO」
資金繰りは全ての経営者に共通する大きな悩みの種。CFO、財務担当者は、資金調達だけでなく、今手元にあるお金をどう使うのか、船頭としてビジネスを最適化する非常に重要な役割を持つ。しかしながら、事業の前面にはあまり出て来ない、いわば事業を裏側で支える黒子のような存在だ。
 
「レンタルCFO」は、一社専任の雇われ財務責任者ではなく、例えば、ちょっと資金調達をしたいから実績がある専門家に相談したいといったニーズに応え、“時間貸し”で様々な企業の財務相談に対応している。経営者は孤独と言われるが、同じ経営目線で相談ができるパートナーがいることは心強い。そのようなニーズが合致し、リンクス社の支援先は2015年3月の創業時から約200社を支援し、資金調達の総額はおよそ100億円に上る。
 
様々な財務支援を行ってきたリンクス社の支援先の中でも、資金調達後に身の丈に合わない資金の使いをして、立ち行かなくなってしまう企業はあるという。
 
鈴木氏:「資金調達は事業成長をブーストさせる燃料の補充にあたります。そのため、基本的に貯金しておくという選択肢はありません。しかし、営業キャッシュフローがないと事業を継続できないため、特に潤沢な資金がないベンチャー企業は、現在手元にあるお金を使う予算、限度額を設定しておく必要があります。
指標はケースバイケースですが、企業は外注や社員へのお金が払えなくなると信用がなくなってしまうため、最低限1年〜1年半分の資金は確保しておく必要があります。個人的には、大口の資金調達、売上ゼロで1年間もインカムがない状態は感覚的に合わない(危険)と感じます。」
 
鈴木氏は、財務活動だけで資金繰りが悪化してしまった過去の経験から、財務支援だけでなく、営業先のソーシングまでサポートするケースもあるという。しかしながら、どれだけ会社の魅力や社長の魅力を伝え、手を尽くしたとしても最後にやり切るのは、社長の役割になってしまう。だからこそ、支援を決める際には、社長に“自責意識”があるか?一緒にやり切ろうという意思があるか?を基準に支援決定の判断をしている。
 
鈴木氏:「過去、CFOとして参画したベンチャー企業で、入社後すぐに資金ショートし、社長が失踪してしまうというハードシングスを経験しました。投資家や金融機関にはきちんと説明をする責任があると思い、半年近く無給状態で現状説明を続け、会社の清算業務を最後までやり遂げました。このことが今の仕事にもつながっています。」
 
  • 高まる財務専門家ニーズ。レンタルCFOのプラットフォーム化を推進
新型コロナウイルスの影響で、経済界は、強制的に資金調達に加えて、資金の使い道を工夫しなければならない状況に陥りました。そのような社会情勢において、ベンチャー企業の資金状態を健全に保つサポートができる財務の専門家は非常に貴重な存在となる。それを担うレンタルCFO事業の今後の展開はどのように考えているのでしょうか?
 
鈴木氏:「僕個人がCFOとして支援できる数には限りがあります。そのため、僕の時間・地理的なものに依存しない仕組みを作る必要があると感じています。僕と同じように、自分で新規事業を立ち上げるよりも、起業家、事業を応援する参謀的な立場に興味がある、金融機関出身者、会計士などの専門家と連携し、プラットフォーム化していきたいと考えています。CFOを担いたいという方を育て、足りない部分はツールを提供してカバーしていく。そして起業家には、本業に集中してもらうことで、本業をスケールさせることに集中できる環境を作りたいと思っています。
また、連携してくれるCFOや税理士とタイアップして、応援したいベンチャー企業に資金を提供するファンドも立ち上げたいと考えています。既存ファンドのように外部からお金を集めてきて投資するのではなく、CFOとして伴走して成長をサポートしながら、資本提供もできる財布を作っておきたい。想いに共感してくれる人と、相乗り投資もできたら嬉しいですね。」
 
出資後、兜の緒を締めよ。このような時代だからこそ、財務計画・営業計画は連動させてしっかりと見直していきたい。

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